わたしたち多くの日本人にとって、3月、4月は特別な季節です。
自分の学生時代や初めて社会に出た時のことを思い出すと、あのころの別れと出会いのほとんどがこの季節の訪れとともにやってきたことにあらためて気づきます。
卒業や進学、進級という大きな流れのなかで、友人や先輩、後輩、恩師と別れたり、思いを寄せていた人に自分の気持ちを伝えきれずに離れ離れになってしまったり、いろいろな思いが忙しさの中に紛れてその居場所を失ってしまい、どこか片隅に追いやられてしまう季節でもあります。
一方、新たな環境へと踏み出したおかげで、それまでの自分とは違う自分を発見したり、本当に気の合う仲間と友達になれたりもします。何か新しいことを始めたいような気になったり、そのきっかけを作ってくれるのもこの季節ならではのことです。
社会人になってからも、新入社員の受入れや人事異動、昇進、転勤など職場内での変化や人生の大きな転機の多くが、この季節とともにやって来ます。
この季節には、涙を流す機会が増えるかもしれませんが、笑顔の中の涙であることが多いようです。
春には涙より笑顔が似合います。そして、春には桜が似合います。
軽井沢では桜の木をほとんど見かけませんが、桜はこの季節、見事に華やかに咲き、あっという間にその艶やかさを散らせてしまいます。その潔さが、何か人生の別れとか出会いという刹那の出来事の象徴となって、わたしたちの心を打つ多くの名曲なども生んできたのだと思います。
ところで、「学問は一日にしてならず」の言葉にもあるように、勉強は桜の花とは違い、一瞬の輝きや刹那の華やかさに集約されるものではありません。毎日の地道な継続、コツコツとまじめに取り組む姿勢こそが、将来の大輪の花を咲かせるのだと信じています。
生徒の皆さんの「コツコツ」のスタートと継続をあらためて期待する春なのです。